レインウェア研究所:自転車・バイク利用時にレインウェアのおしりから雨水が染みてくる理由 byトキワ

雨の日の業務で、自転車やバイクを利用する際、頼りになるのがレインウェアです。
ところがお尻の部分が染みてくるトラブルは多く聞かれます。この記事では、その原因と対策を説明してみます。購買担当者として知っておきたいポイントを押さえて、最適な製品選定にお役立てください。

お尻から雨水が染みてくる原因

自転車やバイクに乗るとレインウェアのお尻や股間の部分から雨水が染みてくるというお悩みが多い

レインウエアを着て自転車やバイクに乗ると「お尻や股間の部分から雨水が染みてくる」という悩みをよく耳にします。ウエア本体の防水機能が低下している場合もありますが、ウエアの構造や素材による問題も考えられます。まずは雨水が染みてくる原因について考えてみます。

劣化による防水樹脂の剥離

レインウェアの防水樹脂が剥離すると雨水が染みてくる原因に
レインウェアの防水樹脂が剥離している例

レインウエアを着て、自転車やバイクに乗るとサドルやシートに接する生地に圧力がかかり、更にお尻の部分を動かすことでその生地が摩擦・摩耗により、生地の裏面に施された防水樹脂の劣化スピードが早まります。そこでお尻の部分から雨水が染み込むという現象が起こります。

トキワに実際にご相談いただいた事例でも、防水樹脂の剥離に起因するものがありました。レインコートのお尻の部分から雨水が染み込むということで製品を確認させていただいたところ、レインコートの大部分については特段異常がなかったものの、お尻の部分の生地の裏面の防水樹脂が剥離(部分的に剝がれてしまう)していました。

防水樹脂が剥離してしまうと、その部分の生地の防水機能は失われてしまい、雨水がウエアから染み込んできます。

縫い目からの浸水

縫い目の処理によっては、縫い目から雨水が染みてくることも
(裏面)縫い目と防水テープ

お尻や股間の部分の縫い目から雨水が浸入することもあります。これは縫い目の裏側に施された防水テープが縫い目に沿ってしっかりテーピングされていなかったり、お尻の部分の動きによる摩擦摩耗でテープが剥がれてしまうことで、その部分の縫い目から雨水が浸入してきてしまう現象です。このようなことから、テーピングの有無やテーピングの技術は防水製品の品質に直結する大変重要な要素です。

透湿性レインウェアは体重による圧力で浸水することも

透湿性素材のレインウェアは、圧力や劣化、剥離によって雨が染み込んでしまうことも

大半の透湿性素材は、生地の裏面に施された防水樹脂の主原料がPU(ポリウレタン)で、それをコーティング製法により貼り合わせて作られています。その透湿性素材を用いたレインウェアがそれなりの耐水圧を持っていたとしても、バイク・自転車へ乗り続けることで、長時間体重による圧力が生地にかかり、更に「乗ったり、降りたり」の連続的な繰り返し運動をすることで、生地はその摩擦摩耗により剥離を起こし、そこから雨水が染み込んでくる事もあります。大半の透湿性素材が摩擦・摩耗に弱いという特性はこのような生地の物性やそれらの運動からです。

このお悩みに多い業種は、デリバリー業や訪問営業の方々です。これらの業種の方々は、バイクや自転車に乗り、訪問先まで行くということで、長時間バイク・自転車に乗車します。また、訪問先へ到着し、配達を終えて、またバイク・自転車へ乗車するということを連続的に行います。これらのことからレインウエアに圧力や摩擦のダメージが蓄積しやすいため、素材選びには慎重になって頂きたいところです。

お尻から雨水が染みてしまう対策

レインウェアのお尻の部分からの浸水を防ぐためには、製品選びで次の点に留意されるとよいでしょう。

浸水しにくい素材のウェアを選ぶ

PVC素材のレインウェアは、透湿性素材に比べると耐久性が高く、防水性が維持しやすい
PVC素材のレインウェア

生地裏面に施された防水樹脂の主原料に、PVC(ポリ塩化ビニル)を配合している素材の製品を選択することで、PU(ポリウレタン樹脂)とは違い、長時間の使用でも高い防水性を維持できます。特に移動時間や使用頻度の高い業務においては、この点を特に重視したレインウェアの選択をお勧めします。

トキワの完全防水連ウェア、ファミネットアジャスター
ファミネット・アジャスター

1982ファミネットアジャスター』は、自転車はもちろんのこと、バイクでの移動中、前方から受ける強い雨風にもしっかりと耐えられ、前述のような摩擦摩耗に強い素材を使用しているレインウエアなので製品の寿命も長く、多くの企業様でレインウエアのユニフォームとして採用頂いております。

縫製の位置やシームレス加工をチェック

お尻の部分が二重構造になったレインウェア
お尻の部分が二重構造になったウェア

縫い目の位置が最適化された設計や、縫い目のないシームレス製品を選びましょう。これによって、縫い目からの浸水リスクは大幅に低減できます。トキワでは、これまでお尻の部分を二重補強したレインウエアなど、パンツのお尻の部分の水漏れについては特に研究し、対策をしてきました。

トキワのファミネットピックは透湿性素材を用いつつも、縫い目が工夫されており尻や股間からの水漏れに強い構造になっている
ファミネットピックはノンクロス縫製の設計

透湿性素材を用いた『1042ファミネットピック』のお尻の部分は、従来のパンツの裁断や縫製で採用されているクロス縫製とは異なる設計「ノンクロス縫製」によりお尻の部分からの水漏れ対策をしています。従来の、両脚内側にある縫製を外側へ移行することで、水漏れを誘発するクロス縫製を回避しています。

ファミネットピックは透湿性の素材を用いており軽量なため、デリバリー業の他、農業の方々などに長年ご愛顧いただいております。特にご年配の方々にとっては、レインウエアの重量は、身体に一層の負担をかける為、製品選びの重要なポイントです。一方でレインウエア本来の防水性能を担保するために、透湿性素材ゆえの欠点である尻部からの水漏れには、縫製・設計でその欠点を防ぐよう製品が企画されています。

消耗しやすいレインパンツ単体の買い替え

トキワは過去にはツーパンツレインスーツの需要に対応していた
かつてはツーパンツレインスーツの需要に対応していた

消耗の激しいレインパンツは、単体で交換可能なタイプを選ぶことをお勧めします。これによって、コスト効率の良い運用が可能になります。トキワでは、かつて消耗の激しいパンツだけを始めからもう1本セット組みした「ツーパンツレインスーツ」でパンツの買換え需要に対応したほどです。

しかしこんにちでは、残念ながらコスト面からその生産は断念しました。
そこで新たに発売したのが、『1985アジャスターレインパンツ』です。

レインパンツ単体の買い替えに、アジャスターレインパンツ
アジャスターレインパンツ

1985 アジャスターレインパンツ』は耐久性が高く、製品寿命の長いPVC配合がされた防水樹脂を使用しているレインパンツです。『1982ファミネットアジャスター』の替えパンツとしてもお使い頂けます。

まとめ

耐久性と着用シーンを総合的に考慮したレインウェア選びを

購買担当者の皆様には、価格比較や数値上の性能だけでなく、耐久性や着用シーンにおける使いやすさ、そして従業員の満足度を総合的に考慮したレインウェア選定をお勧めします。

トキワは完全防水を追求したレインウェアを中心に、長年、ハードな現場で使用された実績とノウハウでユニフォームとして長年ご愛顧頂いている製品を揃えています。レインウェア選定でお悩みの際は、どうぞご遠慮なくご相談ください。

法人向け特別プランや、製品へのプリント加工も行っております。お気軽にお問い合わせください。

よろしければ関連記事もお読み下さい