レインウェア研究所:縫い目からの漏水を防ぐ!レインウェアの防水テープ(シームシーリング)について

防水性を重んじるレインウェアの裏側には、縫い目からの漏水を防ぐために「防水テープ」が施されています。「シームシーリング」「シームテープ」「目止めテープ」「目貼りテープ」などと称されるこの防水テープは、レインウェアのほかにテントやタープなどのキャンプ用品でも採用されています。

今回は、そのレインウェアの防水テープについて解説してみます。

防水テープ(シームシーリング)とその加工とは?

1本の糸から織られた生地(織物)は衣類やバッグなどの日用品の他、カーテン、ソファなどの工業用品など、私たちの生活の様々なところで使われています。1枚の生地は、製品の形にそって裁断(カット)され、糸ミシンで縫製(縫う)されることによって二次製品へと変化していきます。

今回解説する「防水テープ」とその加工は、生地が裁断され、糸ミシンで縫製されたその「縫い目」と呼ばれる箇所に裏側から施されるテープとその加工方法のお話です。

レインウェアの防水テープ

皆さんが着られる洋服の「縫い目」を見てみて下さい。洋服には必ず糸ミシンで縫製された「縫い目」があります。
よーーく見てみて下さい。その「縫い目」に糸が通っているのが分かりますか?生地に糸を通すためには、ミシン針で穴を空けなくてなりません。レインウエアも同じように糸ミシンで縫製されるのですが、レインウエアだと、この針の穴から雨水が入ってきてしまい、防水目的で使うレインウエアが用を足さなくなってしまいます。

そこでレインウエアには、この針の穴を塞ぐ為、裏側から「防水テープ」を施すわけです。

防水テープはどこにでも貼れるわけではない

防水テープはレインウェアの縫製箇所の裏側に施されています

針の穴から漏水することを防ぐため、縫い目の裏側から縫い目に沿って施される「防水テープ」。
レインウェアには全ての縫製箇所の裏側に施されています。全てです。すごいと思いませんか?

想像してみて下さい。例えば、私たちが普段着ている洋服の縫い目の全てに裏側からセロハンテープを貼るような感覚です。もし、縫い目の全てにセロハンテープを貼ってみてくださいって言われたら一体どれくらいの手間と時間がかかるでしょうか・・・ちょっと想像できませんよね。

防水テープをカーブの部分に貼るのは難しい

また、縫い目も色々ありますが、曲線(カーブ)の部分はセロハンテープを貼るのが難しいですよね。どちらかと言えば、セロハンテープは曲線より直線のほうが貼り易いですよね。レインウエアも同じです。実は防水を重んじたレインウエアは、洋服と違って縫製個所が曲線よりも直線のものが多いことにお気づきでしょうか。このレインウエアの縫製個所に直線が多いのは、縫い目の裏側から施す「防水テープ」がしっかり貼れるからです。防水テープがしっかり貼れれば、針の穴からの漏水を防ぐことができますから。

この「防水テープ」とその「加工方法」には歴史があります。
縫い目からの漏水を防ぐため、縫い目の裏側からテープを貼る。そこまではよいのですが、実はそのテープをしっかりと貼る為には、先人の方々の苦労と試行錯誤の歴史がありました。その歴史については、資料館のページで解説しています。

防水テープの加工により水漏れしない、防水バッグ

新・雨先案内人 防水バッグ

ここまで、防水テープの構造的なお話しをしてきましたが、実際に実物を見てみないと想像ができないと思います。ただ、防水テープだけを見てもレインウエア自体に馴染みがないと、これもまた想像ができないでしょう。そこで、トキワでは長年レインウエアで培った防水のノウハウをバッグに導入してみました。それが「雨先案内人(あめさきあんないにん)防水バッグ」です。

雨先案内人防水バッグ(品番:314)」は、トキワのレインウエアの生地をそのまま使用して企画したバッグです。業務用レインウエアとして長年、レインウエアをたくさんの方々にお使い頂きましたが、長年ご愛顧いただく理由の1つに生地があります。雨の日に業務用として長時間ハードな活動をされる方々の動きに耐えられるには、まず生地が重要です。

雨先案内人防水バッグは、このトキワのレインウエアの生地をバッグにしたものです。雨の中、濡れては困る大切なものを入れてもらうなど雨の日用エコバッグとしてお使い頂いています。

その雨先案内人防水バッグ(品番:314)の防水性を更に高めたのが「新 雨先案内人防水バッグ(品番:320)」になります。違いはたくさんあるのですが、その中でも最も大きな違いは、バッグの縫い目全てに防水テープの加工が施されている点です。

実験:テープの有無でここまで違う

防水バッグの性能を比較(314 vs 320)

雨の日の屋外で、防水バッグの中に入れた新聞紙が濡れないか実験した結果です。

雨先案内人防水バッグ(品番:314)」はトキワのレインウエアの生地を糸ミシンで縫っただけなので、濡れたベンチの上などに置くと、どうしても縫い目から漏水して、バッグの中に入れた物が濡れてしまう危険性があります。

防水バッグ(314)は縫い目から水が染みることがある

一方、「新 雨先案内人防水バッグ(品番:320)」は、縫い目の裏側からしっかりと防水テープが貼られているので濡れたベンチの上などに置いても、バッグの中に入れた物が濡れる心配はありませんし、更に水の中に入れてもバッグの中の荷物は濡れません。

新 雨先案内人防水バッグ(320)は、縫い目もシーリングしてあるので水が染みない

新 雨先案内人防水バッグ(品番:320)」は、JoynTV!でも取り上げていただきました。防水バッグを水に沈める実験のフル動画はこちらからご覧いただけます。

ゲリラ豪雨や災害時対応に、防水バッグの様々な用途

縫い目の裏側に防水テープが施された「新 雨先案内人防水バッグ(品番:320)」は、防水テープのおかげで格段に防水性が高まりました。また、逆転の発想で、バッグの中に水を貯めるという給水性もあることから災害時の「給水バッグ」としても使用できます。

この防災用品としての用途は、日本赤十字社の救護班の方々からもご評価頂き、日本赤十字社オリジナルキャラクター「ハートラちゃん」入りの製品として、日本全国の日本赤十字社関係者の方々にお使い頂いております。このように団体・組織のオリジナル製品として社名・ロゴ・キャラクターなどの後加工のサービスも承っております。

日本赤十字社「ハートラちゃん」コラボverの防水バッグ
日本赤十字社の公式キャラクター「ハートラちゃん」コラボver.

その他の用途としては、洗濯物や汚れ物、臭いのあるものなどを収納するバッグとしてもお使い頂いております。

私たちは常に「防水」という「水を防ぐ」ということを重んじて「モノづくり」をしてまいりましたが、逆にそれはバッグの中と外の世界を分けるという別の観点に繋がり、多種多様なマルチバッグがここに誕生しました。現在購入した方々からは「私はこう使っている」という私たちが全く考えてもいなかった用途を教えて頂いています。

防水バッグは下記のサイトにて1点からお買い求めいただけます。
法人向けの大口注文も承っております。
ギフト・ノベルティ用に社名やロゴを入れる加工も可能ですので、お気軽にご相談ください。

まとめ

如何でしたでしょうか。今回は防水テープとその加工方法について解説しました。
日頃着ている洋服の縫い目を、意識して見ることはあまりないですよね。
レインウェアの場合、その縫い目から漏水してしまい、用を成さなくなってしまいます。その漏水を防ぐために縫い目の裏側から施す防水テープはレインウエア特有の工程、いわば「生命線」です。

レインウェア特有の工程である「防水テープ加工」ですが、最初から上手く加工できたわけではありません。また、現在はテープを貼る専用の機械で加工を施しますが、昔は全て手作業で行う「手貼り」でした。

資料館では、そのような防水テープとその加工方法の歴史について解説しています。

是非、この防水テープ加工を通じてレインウエアの奥深い構造について知ってもらえると嬉しいです。

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