レインウエアを選ぶ際によく出てくる耐水圧〇mmという数値。製品によって数値が違いますが、この耐水圧の数値が高ければ高いほど、高性能なレインウエアなのでしょうか。
本コラムでは、レインウエアを選ぶうえでの耐水圧について解説してみます。
耐水圧とは?
耐水圧とは、生地に水が染み込もうとする力を抑える性能を数値で表したものです。
その数値は、縦横1㎝四方の柱を生地に対して垂直に立てて水を注ぎ、漏水の見られないその水柱の高さ(水位)の限界点です。
例えば、水柱の高さが50㎝なら耐水圧は500mmです。
耐水圧の数値が高いほど、生地に水が染み込むのを防ぐ性能が高いという事になります。
耐水圧の高いレインウエアのメリット
耐水圧の高いレインウエアとは、生地に水が染み込むのを防ぐ性能が高いので、
防水性が高いというメリットがあります。
耐水圧の高いレインウエアのデメリット
一方、耐水圧の高いレインウエアは、生地に水が染み込むのを防ぐ性能が高いだけに、水に限らず、汗や水蒸気などあらゆるものを通さないので、サウナスーツのような状態となり、汗で「ムレる」というデメリットがあります。
透湿性(とうしつせい)とは?
そのような耐水圧の高いレインウエアのデメリットである「ムレる」ということを解消してくれるのが透湿性(とうしつせい)です。透湿性とは、生地の内側から外側へ水分を逃す性質のことです。
透湿性は、透湿度という数値で測ることができます。
透湿度は縦横1m四方の生地に24時間で何グラムの水分を出したかという数値です。
例えば、透湿度が3,000g/㎡/24hであると、24時間で一平方メートルあたり3,000gの水分を外に逃すということになります。
透湿性の高いレインウエアは汗をかいてもムレにくく快適な着心地を体感できます。
ただしその体感は個人差によるところも多く比較するのは困難です。
耐水圧と透湿性は反比例する
前述のように耐水圧とは、生地に水が染み込もうとする力を抑える性能を表す数値、一方、透湿性とは、生地の内側から外側へ水分を逃す性質のことです。
そもそも生地とは1本の糸から織られた「織物」で、糸と糸が織られた箇所には小さな隙間が生じます。
耐水圧を高くするためには、その小さな隙間をなくす必要があります。
しかし、その小さな隙間をなくすことで、水分は通りにくく透湿性は低下します。
反対に透湿性を高くするためには、水分が通りやすくなるような小さな隙間を残す必要がありますが、隙間を残せば耐水圧は低下します。
よって、耐水圧と透湿度は、どちらか一方を高めると、もう一方は低下することとなり反比例の関係にあります。
これが耐水圧も透湿性も両方高めた生地となると高額ですがアウトドア、山登りなどで使用される本格的なものもあります。
用途に合わせた製品選びを
業務用レインウエアにおいては、ちょっと雨が凌げればいいというものではなく、長時間屋外で作業をする中で使用するため、製品の防水性が求められます。
「ポンチョ」は自転車用雨具として利用者の多いレインウエアです。着脱が簡易的で安価なことから利用者が多いと言われています。しかし一方で雨の中、長時間着用するとなると足下が濡れてしまったり、デザインによっては、風で煽られ、ハンドル操作に影響したり、裾が車輪に巻き付き事故に繋がったという危険な報告もされております。
また、業務内容・使用環境によっても求められるものが違います。
例えば、バイクに乗って配達をするデリバリー業の方は、バイクに乗車して移動する際に、前から受ける風の圧力が雨にプラスされるので、水が染み込まない耐水圧の数値の高いレインウエアが求められますが、同じ移動手段でもバイクではなく自転車となると、自転車を「こぐ」という運動が加わり、汗をかきやすくなるので「ムレる」ということを解消する透湿性が求められます。
このように業務内容・使用環境に応じた用途に合わせた製品選びを是非していただきたいと思います。
通気性を高める仕組み
ムレを解消する為に透湿性の生地がよいことを解説しましたが、ウエア内にこもった汗、ムレを解消するために通気性を高める仕組みがあります。
それは背中部分(後身頃)を抜いた仕組み(通称:背抜き、ベンチレーション)で、ウエア内にこもった汗が外に放出されて快適です。また、ウエアの裏地に使用しているメッシュは、汗のべたつきを抑えてくれるので、これも快適です。
このようにウエアには生地以外でも通気性を高める仕組みでムレを軽減することもできます。
バイクや自転車利用によるデリバリー業、建築造園土木業、屋外警備、ゴルフ場関連(キャディー・コースメンテナンス)、産廃業など長時間雨の中で活動するあらゆる業種でユニフォームとして使われているファミネットアジャスターは、生地・仕立て・デザインと防水性を追求したレインウエアですが、背中(後身頃)にあるベンチレーション機能がウエア内にこもる熱気を放出し、通気性を高める仕組みになっています。
まとめ
レインウェアを選ぶ際、「耐水圧」や「耐水圧の数値」に目が行きがちですが、用途によっては耐水圧以上に、着用時のムレに対する性能「透湿性」や「軽量感」が求められる場合もあります。
ムレに対しては生地の性能だけでなく、背抜き・ベンチレーションといった通気性を高める仕組みが採用されているレインウエアもあります。
用途にあった最適なレインウエアを選んで頂き、快適な業務をしていただきたいと思っています。
株式会社トキワでは、業務用のレインウェアを中心に、耐水圧・透湿性・コストのバランスの取れた自社開発の各種レインウェアを取り扱っております。自社の業務・業態に合っているか?など、お気軽にお問い合わせください。
次回は、自転車・バイク・ユニフォームなど用途に応じた最適なレインウェアの選び方について解説します。